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ホテルに泊まるときのノウハウ




 私は、女装旅行するときは、男ものの服は持っていきません。女装で旅行したあと、親族に会うような用事が設定されているときは、男ものの服も持っていきますが、こうなると荷物がかさばります。極力持っていかないように心がけるようにしています。服もさることながら、下着からすべて女性のものだけを持って行っています。
 これは、次のような戦略があるからです。
 男ものを持っていくと、旅先で何かトラブルがあったとき、男モードにもどって対処しようとするでしょう。一方、女ものの服しか持って行っていない場合は、とにかく、女装で対処するしかないことになります。でもそのことによって、女装で旅行する度胸とノウハウが身につくわけで、安易な方向に流されないようにしたい気持ちで、とにかく、旅行中は、ずっと女性でいることを自分に強いているのです。
 さて、ホテルに泊まる。男性名でチェックインするの? チェックインのときの姿は? 私の旅行記の読者は疑問に思っていませんか。
 ずばり、「宮崎留美子」の名前でホテルを予約しています。
 今は、インターネットでホテルを予約できるサイトがたくさんあります。私は、宮崎留美子の名前でそういったサイトに登録しています。電話で申し込むわけではなく、直接、ホテルの担当者と相対するわけではありませんから「宮崎留美子」の名前で申し込んでもどうということはありません。
 さてそうなると、実際に出かけホテルのフロントに行くときにはどういう姿で行くか。インターネットで申し込むまでは簡単にできたとしても、フロントでは直接、ホテルマンと相対します。結論から言うと、「心配するな」ということ。女装のままでどうということはないということです。今まで、一度たりとも咎められたことはありません。
 さて、公的な福利厚生サービスを利用してのホテル予約の場合には、福利厚生の登録名じたいは男性名の本名であることから、これは「宮崎留美子」だと福利厚生の特典がつきません。初めて、このシステムを使うときに悩みました。えーーいなんとかなるさと、男性名で申し込み女装してチェックインに向かったことがありました。これも結論から言うとノープロブレムということ。ホテルマンがどう解されたかはわかりません。『こいつは女装者だ』と思ったか、男性名で代理で申し込んだと解したか。知るよしもありませんが、どちらにせよ何のとがめだてもないということです。
 海外でホテルにチェックインいるときには、パスポートを見せなければなりません。パスポートは「宮崎留美子」では登録できません。しっかりと男性名で書いてあり、性別欄はMの記号が書かれています。私は次のようにしています。
「I am Japanese Transgender」と受付で、こちらから先にいうのです。今まで拒否されたことはありません。

 ということで、国内は、女装名で申し込み女装でチェックインする。海外旅行は、男性名の本名で申し込み、女装姿でチェックイン。こんなパターンで宿に泊まっています。こちらは、ちゃんとお金を払うユーザーです。宿泊先を汚すとか毀損するなんていうことはありません。大事なお客様のひとりであるわけですから、堂々と泊まりましょうよ。