留美子が訪れた世界遺産 (3)


文化遺産 デルフィの古代遺跡

(3)世界の中心だと考えられていたデルフィ(ギリシア) 2006. 9. 4up


 倫理の教科書につぎのような話が載っていた。
 ソクラテスのことについて、ある人がをデルフィの神託をもとめたところ、「この世で一番の賢人はソクラテスだ」という神託が下りたとか。
 ソクラテス自身は、自分のことを無知な人間だと考えていたためいぶかしげに思ったらしい。
 しかし、よくよく考えると次のような意味だと気づいたという。それは、「自分は自分が無知であることを知っている.そのことが賢人なのだと」いうことだった。


↑デロス同盟の金庫跡

 紀元前何百年も前の話だ。
 ものごとを論理的に考えることを説いていたソクラテスが、なんでデルフィの神託がごときに、そんなに悩むのだろうかと、私自身は釈然としないものが残っていた。
 そこで、これはぜひデルフィなるところに行ってみなければとずっと思ってきた。ギリシアを訪れることができたので、ぜひぜひ行ってみようということになった。
 個人で行くにはなかなか不便である。1日に数本しかないデルフィ行きのバスに乗って、延々と3時間揺られなければならない。ギリシアは公共交通機関の料金は安いので、確か10ユーロぐらいだった。そのときのレートで1400円ちょっとぐらいだろうか。
 アテネ市内のデルフィ行きのバスターミナルに行くのに、まず苦労した。タクシーをつかまえてその場所をいうのだが、どうも、私の英語が通じない。ギリシアは、ヨーロッパの英語圏以外では、英語はそこそこ通じる方なのだが、一般人の誰でもに英語が通じるわけではない。
 なんとかターミナルまでたどり着き、窓口でバスのチケットを買うことができた。


↑アポロン神殿.神殿跡はギリシアの各地にある


   ↑へその石.古代ギリシア人はデルフィを世界の中心だと考えていた

 バスは、途中で一休みして、お昼過ぎにデルフィに着く。
 さっそく遺跡を見て回るのだが、地中海性気候そのものの場所でもあって、とにかく一点の曇りもないぐらいに太陽がぎらついている。湿度が低いので木陰に入ると涼しく感じるのだが、炎天下は暑い。水を持って行き、ときどき体に補給しながら見て回った。
 デロス同盟の金庫があった場所、アポロン神殿、古代の円形劇場跡、そしてスポーツ競技場。
 古代オリンピックの発祥の地・ギリシア。いにしえ人が、この競技場で技を競いあい、はたまた、喜劇や悲劇のストーリーが劇場で展開され、それを歓声あげて見ていたなどを考えると、悠久のときの流れを感じてしまう。
 デルフィを訪ねて、なぜソクラテスが神託ごときことに悩むのかということが、なんとなくわかったような気がした。古代ギリシア人にとってデルフィは特別な場所だったのだ。世界の中心だと考えていたようだ。当代、第一級哲学者であるソクラテスといえども、ギリシア人が普通に当たり前に信じこんでいたデルフィの位置づけまで否定できるわけではなかったということ。
 夕方、帰りのバスに乗り、またまた3時間かけてアテネへ。アテネの到着は8時頃。でもまだ明るい。時差の関係で、ギリシアの8時はイタリアやドイツの7時である。タベルナ(庶民的なレストラン)でギリシア料理のムサカと赤ワインで夕食をとり、その後、宿泊先のホテルへともどった。