ヌニンさんは、
     しなやかに生きるタイのトランスジェンダー

普通の仕事をして、でも、トランスジェンダーのミスコンに出場したり、雑誌のモデルになったり、自分を隠すことなく生きていける社会・・・・微笑みの国・タイのひとコマです

 ヌニンさんは、タイ南部の街・トラン市にある国立病院に勤務する理学療法士です。
 小さい頃から、体は男性に生まれたものの、女性でありたいと願っていたヌニンさんは、3年ほど前(この記事を書いている2003年の時点から)に性転換手術を行いました。
 タイの性転換手術の技術は、世界でもトップレベルだそうで、欧米や日本を含めて、世界各国の性を変えたい希望の人たちが、手術を行うためにタイにやってきます。
 私も、手術を行う病院のひとつを訪問し、そこの医師の方と話をする機会がありました。病院は実に清潔できれい。また、タイの人たちの「物腰のやわらかさ(・・・・リズムのあるやわらかな言語とも関係してくるのでしょうが)」で語りかけられると、こちらまで癒されてしまいます。
 さて、ヌニンさんのような接客業やエンターテイメントの仕事ではない職業に就いて、他の同僚とともに仕事を頑張りながら、一方で、トランスジェンダーのミスコンテストに出場したり、雑誌のモデルになったりと、「女性になった自分」を生き生きとしなやかに過ごしていっています。
 性転換した「男性」でも、女性誌のモデルとして普通に使われる社会は、やはり、性による壁が少ない社会だといえるのでしょうね。
 微笑みの国・タイのひとつの側面です。

上の写真は、ヌニンさんの勤務場所である、トラン市の国立病院での風景です。以下の写真で、ヌニンさんの別の側面を紹介していきましょう。

歌のコンクールに出場したのでしょうか

熱帯のイメージそのもののヤシの木を背景に微笑むタイガール・ヌニンさん

 普段の仕事日で勤務するヌニンさん(左)と、コンテストに出場するときのヌニンさんの変身ぶり(中、右)。国立病院の理学療法士として勤務しながら、自分もすてきに表現していくしなやかさがすてきですね。

心臓病関係の病院のイベントのようです。募金活動かなにかにイベントではないでしょうか。

 雑誌のモデルになったようですね。理学療法士が雑誌のグラビアを飾る社会って、けっこうステキだと思いませんか?
そういえば、タイでは、トランスジェンダーの軍人さんもけっこういて、女装して、地域の夏祭りで踊りと歌のショーをやったりしています。軍人はオトコ・オトコしているのが当たり前・・・・そんな固定観念を、タイでは吹き飛ばさせてくれました。ジェンダーフリーなどという言葉を聞くことはありませんでしたが、男性/女性の固定的な「らしさ」の壁がゆるやかな感じをもちました。そういえば、タイでは、女性も、どんどん社会進出していて元気にバリバリ働いています。アジアのなかでは、むしろ、日本の方が特殊なのかもしれません。

 

 この写真は、2003年春、タイを訪れて、私がヌニンさんとお会いしたとき、地元のレストラン(というより食堂といったところなのだけど)で撮したものです。
 タイのグリーンカレーに舌づつみを打ちながらも、スパイシーな野菜の品々に、多少、閉口していました。
 すてきなヌニンさんの前では、私なんか「引き立て役」にしかすぎませんが、タイのトランスジェンダーと日本のトランスジェンダーがツーショットした写真です。
 国はちがっても、求める心に共通性があります・・・・女性でありたいという一念・・・・心は、国家の壁を越えます。
 もし、万一(そんなことはあろうはずもないと思いますが)、日本とタイとで戦争になったとき、ヌニンさんと私とは戦わなければならないのでしょうか。国家を背景にしたとき、トランスジェンダーとしての共通性と通じあえる心を捨て去らなければならないのでしょうか。こんなことを考えたとき、国家が個人より優先するという考え方の矛盾に気がつくのです。
 国家を前面に出して語る人を、私は信用できません。日本とタイとの関係よりも、私とヌニンさんという関係性が上位にある....そういう見方でありたいと思います。