留美子のひとり鉄道旅(28)

 ドイツの超特急、ICEに乗る
       ※過去の記事の再掲です



フランクフルト中央駅のホームにて。背後の列車が乗ってきたICE

 ドイツの超特急、ICE。
 日本の新幹線にあたるわけだが、日本とちがって、かなりの部分は在来線を走っている。もともと、ヨーロッパの線路幅は標準軌で、日本の新幹線と同じ幅になっているので、列車の性能が上がれば、在来線でもスピードを出すことが可能になるのではないだろうか。
 超特急といえば、フランスのTGVや、ロンドン−パリを結ぶユーロスターなどが有名だ。しかし、実は、超特急網が整備されているのはドイツなのだ。もっとも、ドイツは技術立国なので、当然といえば当然だろうが。
 日本から、ユーレイルパスを購入していった。日本にも、JR全線、数日間、新幹線を含む特急にも乗り放題で28000円だとかいうジャパンレールパスがあるのだが、これは、日本人はダメ。同様に、ヨーロッパでは外国人となる私たちは、格安のレールパスが手に入る。
 ドイツを含めて、ヨーロッパの鉄道は、ほとんどの国で、改札というものがない。


ICEの食堂車で。日本の列車からは食堂車は消えていっている。ここドイツでは、食堂車はまだまだ健在。

 だったら、キセルが簡単にできるのかという疑問があるが、結論からいうと「その通り」ということになる。ただし、車内検札で引っかからなかったという前提だが。
 ヨーロッパの車内検札のしくみを話しておこう。
 日本の場合は、例えば、乗車区間の切符を所持していない場合には、車内で購入すれば大丈夫だが、ヨーロッパではそうはいかない。改札がないことの裏腹として、切符を所持していなければ、うっかりしていてキセルの悪意がなくてもペナルティ金額が課せられる。外国を旅行していて犯罪を犯すと相当にややこしくなるはずだ。改札がないからといってキセルするというのは割にあわないと思う。
 さて、問題はユーレイルパスには、日本人には耳慣れないお約束ごとがある。まずはバリデーションという作業だ。
 レールパスを初めて使うときには、駅の窓口で「使用開始」のスタンプをもらわなければならない。これをバリデーションと言っている。バリデーションをやっていないと、ペナルティが課せられることになる。つぎに、ユーレイルパスのセレクトパスに関しての約束事がある。

 セレクトパスというのは、例えば、バリデーション後15日以内で好きな5日間を選べるというもので、なかなか便利なパスである。私が購入したのも、このセレクトパス。
 さて、このセレクトパスには、使用する日の日付を記入する欄があり、例えば5日間タイプであれば、5つの欄がついている。この欄に記入するのは、本人自身で行うこととなっている。もし記入を忘れていたら、これもペナルティとなる。鉛筆書きはダメであるし(後で消して他の日付を書けることになる)、ペン書きでも、書き間違いはダメ、というふうに、けっこう厳しい約束事がある。当日の日付などをしっかりと確認して書くといった注意が必要だ。それに、日付の書き方を、日本と同じようにしないことも重要。例えば、1月8日だとしたら、01/08と書いたらアウト。日/月の順番で、08/01というふうに書かなければならない。お仕着せの旅行でないことの醍醐味はたいへんに大きいが、こういうところに、細心の注意を払っておかなければならない。
 では、こういうさまざまな注意ごとについて、どこから情報を入手するのか。これは、パッケージツアーではない自由旅行者の定番の書がある。ダイヤモンド社発行の「地球の歩き方」という本だ。これに限るといっても過言ではないくらいに重宝するガイドブックである(各国別になっている)。書店には、だいたいどこでもおいてある。


ユーレイルパスは1等車用である。日本では1等にあたるグリーン車に乗ることはないので、初めての1等体験である。なかなか快適だ。それに、1等は、客数も少ない。

 私が乗った区間は、ベルリン→フランクフルトである。約5時間。
 ベルリン・ツォー駅を出発したICEはだんだんと速度をあげていく。電車タイプではなく、機関車牽引の客車タイプであるためかモーター音はない。日本の新幹線と比べて、けっこう静かである(もっとも700系のぞみはけっこう静かだが)。1等ということもあって、きわめて快適。ただ、ヨーロッパの列車は座席が回転できないので、進行方向と逆向きに座るケースもでてくるのが難点。
 列車の時刻は、トーマスクックの時刻表で調べる。日本でも年4回発売されるので、それを購入しておく必要がある。駅の窓口でパスを見せて座席の指定を受けるのだが、指定料が3ユーロ弱かかる(1ユーロ=約140円 2004年のときのレート、この後徐々にユーロは上がっていく)。これはパスとは別代金。指定を受けなくても乗れる。このときには自由席になるが、指定されていない席であればどこでもよい。ちなみに、ヨーロッパは指定席車とか自由席車の区別はなく、車内に、指定を受けた席については、指定区間などの記載があり、指定区間外であれば自由に座れる。

 しばらく、車窓から、ドイツの景色を楽しんだあと、食堂車に行ってみた。
 さすが、ヨーロッパはひとつということなのか、食堂車のメニューは、ドイツ語以外にも英語、フランス語、スペイン語、イタリア語での記載がある。ただし日本語はない。英語の記載をたよりにして、スープとパン、コーヒーを注文した。
 ドイツのスープは、質素だが、けっこううまい。スープとパンだけで、ちょっとしたランチになる。車窓から景色を眺めながら、ゆっくりとブランチをとった。
 このあと、座席にもどりウトウトしているうちに、ICEは、フランクフルト中央駅にすべり込んでいった。